拍手ありがとうございます!
ささやかですが、ミニ小説をお楽しみくださいませ。
14周目クリア後追加オープニングデモより ユリウス&ディアドラ
近づく闇の気配に、まどろみかけていた意識が覚める。
自然と開いた目の淵に、涙の潤みを感じ取る。

……いつの頃からか、同じ夢を見るようになった。

幾度となく繰り返して見た夢。けれど、目覚めたときには忘れてしまう夢。
飛び起きたとき。何も覚えてはいないのに、ただ冷や汗と、寒気と、涙の跡だけが、何かの夢を見たことを物語っていた。

――いつものあの夢を、今、見ていた。
そして、今度は、忘れずに目覚めた。

なぜ、こんな大事なことを忘れてしまっていたのだろう。
もっと早く、忘れずに目覚めることが出来たなら、きっと『今』を避けられただろうに。
……それとも、例え覚えていても決して避けられないことだから、忘れてしまっていたのだろうか。

私がもう少し頑張れていたなら……何かが変わっていたのだろうか。

「……ここにいらっしゃったのですね」
カツンと、耳元に響く足音。
床に仰向けに臥したまま、こちらを覗き込む少年を見上げる。
父譲りの燃える赤髪。
父譲りの端正な顔立ち。
父譲りの赤い瞳。
……白い額に、血の色の聖痕。
「ユリアを逃がしてしまわれましたか……あなたは最期まで私の邪魔をする」
(それは……違うわ、ユリウス)
口が動かない。体が動かない。
だから、せめて心の中でだけ。
「いや、そうではないか。ククク……私に楽しみを残してくれたのですか、母上?」
(それも、違う……)
「まぁ、何にせよ」
呟いて、息子は両手で大事に抱えていた黒い聖書を捧げ持った。
ぱらりとめくれるページ――その一枚一枚から、闇の呪法が解き放たれる。
長い間失われていた禁忌の魔法。十三番目の神の力。
「あなた……いや、お前にもう用はない。ここで死んでもらおう」
(ユリウス……)
救ってあげたかった――そう言えたなら、あなたはどんな反応をするだろう。
夢の中で、いつもいつも、黒い竜に喰われていたあなた。泣いて、叫んで、家族の名を呼んでいたあなた。
あの夢を見るたびに、私は懸命にあなたへと手を伸ばしていた。
助け出してあげたくて、抱き締めてあげたくて、けれどいつも叶わなくて、涙を流すしか出来なかった。

私がもう少し頑張れていたなら……
夢でも、現実でもいい、あなたを救うことが出来たのだろうか。

「蘇れ闇の竜――ロプトウス!!」
先の夢が現実となる。
立ち上りし黒き竜……その影が、息子の姿を飲み込んでゆく。
その中に、自分もまた飲み込まれて。
涙までもが闇色に染まる。
(……ユリウス……ごめんね……)


お名前 コメント



--CGI Pocket / SugerBabe --