[雑記] いつもそこにいた人がいない
地元出身の某アニソンシンガーが、週末に地元でライブをやると聞き、ちょっと行きたいと思ってしまった今日この頃。
いや、確かに週末は地元に帰るんですけど......えと、行きませんよ、うん。
実家からだと、さすがにちょっと遠すぎるしね!
さておき。
今朝、天気の良さに思わず空を振り仰ぎ、ふと、空を覆うように枝を伸ばしている桜の木に目がいきました。
満開を幾らかばかり過ぎた桜。そういえば、今年はお花見もしていなかった。
そして何より、その逞しい枝葉ぶりを見て、思い出したことがある。
私の本籍にあたる父方の実家にも、大きな桜の木があります。
父の実家は、先の津波で一階部分が完全に潰れ、住むに耐えない全壊状態。
ですが、この前帰った時、その桜の木はそのままの場所に残っていました。見た感じ、傷みも特になさそうでした。
毎年見事に咲くのですが......今頃綺麗に咲いているかな、と少し考えました。
でも、いつもその家で私を迎えてくれた人は、もういないのだと。
心拍数が僅かに上がった気がした。
桜を見上げるのをやめ、そのまま職場に向けて歩き出して。
心があわだつのは、もうどうしようもないのだろうと思いました。
私でこれなら、地元に残る人たちの喪失感は、どれほどのものだろう。
大事な人を、家を、何もかもを失った多くの人たちも。こんなふうに何かにつけて、忘れられない何かを思い出しては、その気持ちに向き合っているのでしょうか。
先日、地元に戻って、親戚の家に寄ったとき。
そこに避難していた叔母が、いつもの笑顔で私を呼んで、耳打ちした言葉。
「帰りたい」
......今なら、その気持ちが、少しだけ分かる気がする。
地震から四十日。
少しずつ、麻痺していた感覚が戻ってきているのを、感じます。